コラム

2023年のAI市場を振り返ろう

2023年も残すところあと1ヶ月となりました。
こちらのサイトでも様々なAIやDXにまつわるニュースをお届けして参りました。

皆様の身近になってきた「Chat GPT」をはじめ、AIがより身近になった1年でもあったと思います。

今回は「2023年のAI市場」ということで、市場全体を見渡しながら振り返っていきます。

やはり今年のNo.1は「ChatGPT」

今年、話題となったのは「ChatGPT(チャットジーピーティー、Generative Pre-trained Transformer)」ですね。実際に公開されたのは2022年11月ではありますが、アーリーアダプター層から一気に広がり、今年の1月頃から日本でも急激に使用する方が増えました。

最近のニュースでは、20〜60代では「ChatGPT」を認知しているのは60%という数値ではりましたが、実際に活用しているのは10%程度に留まっており、情報番組等で耳はにするけれどまだまだ実用化している方は一部になっているようです。

ChatGPTは生成AIと呼ばれ、文章生成や情報収集、リサーチ、文章添削などを得意とします。またプロンプトと呼ばれる指示を的確に行うことで、サイトのコードを作成したり、画像生成の元になる文章を英語で作成するなど、使い手によって様々な活用方法があります。

ですが、企業で使うにはよりセキュリティの高いものが求められており「ChatGPT」を直接利用するのではなく、API連携されたサービスを用いて社内GPTを作成し導入している企業も増えています。「Azure OpenAI Servise」は、Microsoft社が提供するクラウドサービスのAzure上で提供しているAIサービスになり、2023年3月からChatGPTが利用できるようになりました。

◎日清ホールディングス株式会社

セキュリティ対策を施したMicrosoft Azure上で独自システムを開発!
対話型AI「NISSIN-GPT」をグループ社員3,600人に向け4月25日(火)に公開

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000096305.html

日清食品グループの社員が最新のAI技術を活用できるよう、Azure OpenAI ServiceとMicrosoft Power Platformを活用した独自の対話型AI「NISSIN-GPT」を開発しています。

対話型AIから得られた情報にはプライバシー、コンプライアンス、フェイクなどの問題が潜んでいることから、情報の二次利用に関するリスクを「チキンラーメン」のキャラクター「ひよこちゃん」を活用して注意喚起することで、グループ社員のリテラシー向上を図っているのが特徴です。

◎株式会社ベネッセホールディングス


社内AIチャット「Benesse GPT」をグループ社員1.5万人に向けに提供開始 

https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/management/2023/04/14_5969.html

現場の開発者・企画者が安心・安全な環境でAIチャットサービスを検証できる環境を整備することを目的に、Microsoft Azure上のOpenAIを活用したAIチャット「Benesse GPT」を開発。
社員は内部ネットワーク(イントラネット)上で、いつでもAIチャットサービスを使用することができるようになり、セキュアな環境下でAIチャットサービスの業務効率化への活用や、商品開発に向けた技術活用の検証などが可能としています。

時代は「マルチモーダルAI」である。

マルチモーダルAIという言葉をご存じでしょうか?言葉は聞いたことがなくても実は私たちの身近にあるAIのひとつになります。

マルチモーダルAIは、テキストや音声、画像など、複数の情報データを総合的に処理できるAIのことを指します。

ちなみに先ほどお話した「ChatGPT」の中でも最新版の生成AIである「GPT-4」に関しては、テキストデータから画像を生み出したり、画像データとテキストデータを組み合わせることもできるマルチモーダルAIのひとつになります。

たとえば、これまで防犯カメラは「映像のみ」による映像解析が中心となっていましたが、これは私たち人間の脳でいうと「視覚」をもとに状況判断を行っているということになります。ここに「聴覚」にあたる「音声情報」が入ることによって解析の精度が上がるということです。

◎京浜急行電鉄株式会社の取り組み

京浜急行電鉄株式会社は、現在使用している記録式の防犯カメラ装置から、リアルタイムに映像を確認でき、加えてAI解析機能も搭載した新たな防犯カメラを導入すると発表されました。(引用元:https://www.keikyu.co.jp/company/news/2023/20230421HP_23005TE.html

近年、鉄道車内での事件等が増えていることもあり、記録式のカメラではなく、防犯カメラとしてリアルタイムに確認ができ、AI機能を搭載したカメラ(NTTデータが提供するカメラ)を導入することになりました。

通信機能を持ち、車両と地上をつなぎ、何かあった時にでも素早く状況把握を行い、対応連携できることを目指しています。またAIを搭載することによって、防犯だけでなく、車内の混在都度を可視化することでダイヤ改正などに活用し、サービス向上を図る取り組みを行うそうです。

◎Googleレンズ

たとえば、Googleレンズは、海外のレストランで読めないメニューがあったとしてもレンズで読み込めば、視覚情報を読み取り、翻訳を行い、私たちは書いてあることを理解することができます。

他にも、目の前にある植物や商品の名前が分からなくても、レンズで読み取ることでその植物の名前を知ることができたり、商品をそのままネットで購入することも可能です。

◎Amazon Alexa

Amazon AlexaやGoogle Assistantは、ユーザーの音声を認識し、その情報をテキストに変換して対話に活用することで、より自然で人間らしい対話を実現しています。

「Alexa、電気を消して!」「Alexa、今日の天気と気温は?」「Alexa、朝にぴったりの音楽を流して!」人と会話をするように、当たり前に話しかけると対話をすることが可能!

子供がアレクサに学校の宿題を聞いても、親切に答えてくれます。(親もびっくり!)

9月には、アマゾンがAlexaに搭載したのは「Alexa Chat」という機能を搭載することを決めました。「Alexa, Let’s Chat」と話しかけると、チャットモードに変わり、連続的に話題を維持しながらAlexaと対話できるのです。

音声入力から検索し音声で答える。音声入力から具体的な動作に影響を与える。
私たちの日常に近い場所にだんだんとAIが取り入れられていることを実感しています。

G7の開催国となった日本

2023年はG7(先進国首脳会議)が開催されました。
日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダで構成され、日本の各地で首脳陣による会議が行われました。

AIに関する内容は広島で開催され「広島AIプロセスに関するG7首脳声明」 が発表されました。(引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100573465.pdf

実際にはAIがこれからも人類の発展に寄与することは認めつつも、その扱いは私たちの文化や常識、法律や民主主義の精神を踏まえての活用を行うことをみんなで足並みを揃えましょう。という発表でした。

AIを扱うということは、それだけ多くの情報を扱います。世の中が便利になっていくだけでなく、その中で安心して導入し活用していくことが私たちに求められるスキルになります。

2024年さらにAIが発展し、私たちの生活に浸透していくと思いますが、その動向をしっかり捉えながら活用する側でありたいですね!

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