前回DX(デジタルトランスフォーメーション)特集を行いました。
現在DXに取り組む企業を後押しするため、政府はさまざまな施策を行っています。
この中に2020年にスタートした「DX認定制度」というものがあります。
こちらはDX実現に向けて優良な取り組みを行う事業者を認定するDX認定制度で、取得することで様々なメリットを受けれるようになっています。
このDX 認定制度は一体、どのようなものなのでしょうか?
DX認定制度とは?
DX実現に向けて優良な取り組みを行う事業者を認定するDX認定制度のことです。
少し詳しく説明するとDX認定制度とは、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律外部」に基づく認定制度です。
国が策定した指針を踏まえ、優良な取組を行う事業者を申請に基づいて認定することになります。
指針とは、企業経営における戦略的なシステムの利用の在り方を提示したものであり、本指針の策定は、この情報処理の促進に関する法律に基づいています。
このDX認定制度は公益法人等を含む法人と個人事業主などすべての事業者を対象とし、一定の要件を満たすことで申請することができます。
国の分析により2020年度で日本企業の約9割がDXに未着手であることがわかり、企業のDX推進を後押しするため、2020年にこの「DX認定制度」が創設されたという経緯です。
DX認定を受けるためには?
経済産業省は、DX推進を目的に、デジタル技術による社会変革をふまえた経営ビジョンの策定・公表など、経営者に求められる対応として「デジタルガバナンス・コード」を策定しました。
デジタルガバナンス・コードとは、経済産業省が社会構想「Society5.0」を目指す上で設定した「企業経営におけるデジタル技術による社会変化への対応を捉え、ステークホルダーとの対話を基盤として、経営者に求められる企業価値向上に向けて実践すべき原則」のことです。この基本的事項は「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律外部」に基づいています。
このデジタルガバナンス・コードに企業が対応することが、DX認定を受ける条件です。
DX認定制度を取得するメリット
認定制度を取得すると様々なメリットが受けられます。
●企業としての価値やイメージが向上
認定事業者一覧に掲載されたり、DX認定ロゴマークが使用可能になったりします。積極的にDX推進に取り組んでいることを社内外にアピールできるため、企業イメージの向上が期待できます。
また獲得したロゴをコーポレートサイトなどへ掲載すれば、企業ブランディングに効果も期待できますので、人材獲得においても大きな影響を与えます。
●DX投資促進税制の税額控除
DX促進に必要なソフトウェアや施設などの投資費用に対して税制の優遇措置です。
税額控除(原則3%、外部の企業法人との連携や共有を行う場合には5%)
特別償却(投資額の30%まで)
●DX銘柄の応募資格
DX銘柄とは、企業のDX推進を目的に選定される銘柄です。経済産業省と東京証券取引所が選定します
●融資での特別利率
DX認定を取得していると、日本政策金融金庫が提供している「IT活用促進資金」と呼ばれる融資制度において、特別利率を利用できます。
DX認定制度取得の流れ
DX推進には経営者の動きが不可欠です。
まず、現状のビジネス状況や経営環境などの情報を整理して、経営ビジョンを策定する必要があります。その後、取締役会で承認を受け、公表します。同時に経営ビジョンを実現するためのDX戦略として、体制・組織案と、ITシステムの整備に向けた方策を検討し、DX戦略を策定します。具体的な指標や、戦略状況を管理するための下記の仕組みを検討し、DX戦略推進管理体制も策定し、セキュリティ監査報告書をとりまとめます。
1. 経営ビジョン・ビジネスモデル
経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデル設計を行い、株主に公表する必要があります。
デジタル技術を用いることによってどのような影響を及ぼすのか、またその内容について公表しているかを検討します。
2. 戦略
社会及び競争環境の変化を踏まえ、目指すビジネスモデルを実現するための方策、デジタル技術を活用する戦略を策定し、株主に公表する必要があります。
2-1. 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制を構築、組織設計・運営の在り方について、株主に公表する必要があります。
2-2. ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
デジタル技術を活用する戦略の推進に必要なITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術、計画等を明確化し、株主に公表する必要があります。
3. 成果と重要な成果指標
デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、それに基づく成果について自己評価を重ねていきます。
4. ガバナンス
デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、経営者はリーダーシップを発揮するべきであり、他部門と協力、課題を把握・分析し、戦略の見直しに反映していきます。
またサイバーセキュリティリスクも取り入れていきます。
4-1. ガバナンスシステム(情報発信)
4-2. ガバナンスシステム(経営者の課題把握)
4-3. ガバナンスシステム(サイバーセキュリティ対策)
以上を経営者がチェックしていく流れとなります。
これらが完成した後、DX認定制度のHPにアクセスし、必要提出書類である「認定申請書」のWordファイルと、「申請チェックシート」のExcelファイルをダウンロードします。また記載されている全ての設問に回答を記入し、提出資料を完成させていきます。最後に、申請Webサイトである「DX推進ポータル」にアクセスして、用意した提出資料をアップロードします。この流れで申請ができます。
これからの時代に強い企業となるためにDXを導入して、様々な制度を同時利用して、メリットを受けましょう。