最新のDX(デジタル・トランスフォーメーション)ということをテーマにこちらの記事を書いていきたいと思います。
自然言語ラボでは今年もDXに関する記事を数多くお届けして参りました。
◎日本企業のDXの取り組み
https://ai-dx-lab.com/column13/
◎ニトリで実践、失敗しない「デジタル化」 DX推進者がすべき7カ条
皆様の生活も少しずつDXを実感することもあるのではないでしょうか?
いつもは大手企業のDXについてお話することが多いサイトですが、今回はもう少しだけ私たちの身近にあるDXについてお話をしていきたいと思います。
ぜひ最後までお楽しみください。
飲食業界に増えている無人店舗
無人店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、無人店舗の経営や運営を効率化し、売上、生産性を高め、同時に顧客体験を向上させることを可能とします。
新型コロナウイルスの流行によって、対面の営業が難しくなり事業形態を変えた企業も多く、その中で無人店舗での商品販売を展開する企業が増えました。
話題になったお店だと「餃子の雪松(https://www.yukimatsugyoza.com/howto/buy/)」があります。店舗数は「432店」(2023年2月2日現在)となり。46都道府県に展開しているそうです。
ニュースや情報番組で取り上げられることを見ていても、多くの方が利用していることが分かります。ちょっとした一品に、大家族で食べるために、みんな気軽に立ち寄って数分の滞在で必要なものを購入してお店をあとにしている姿が印象的でした。
また、こちらは創業1年にもかかわらず、全国180店舗の展開をした「おウチdeお肉(https://mujin-oniku.com/)」も同じく無人店舗での展開を行い、ポップな雰囲気とネオンが印象的です。
「家族と少しでも一緒にいたい、友達と豪華なご飯が食べたい」
というシンプルな思いで創業され、瞬間冷凍と売り方の仕組みで業績を伸ばしています。
実際に紹介した2つの店舗は、スタッフと対面することもなく、自分のペースで買い物をするという顧客体験を実現していますし、他のお客様ともそんなに会うこともない。
もちろん売上はしっかり伸びています。
これまで考えていた「接客」や「サービス」という付加価値はどこに消えたのか?という問いも生まれてきます。
私たちの身近にある食品の無人販売所。
成り立つにはちゃんと理由があります…
無人店舗を支えるDX
無人店舗ということは、もちろん店舗に立つスタッフがいないということで人件費の削減になるのは大前提ですが、そこを支えるDXの仕組みが存在しています。
◎入退店管理システムの導入
防犯の意味も兼ねてカメラを設置することにより、入退店の管理、顧客サービスの改善を可能とします。家族構成や服装などから生活背景を知ることができたり、お客様の店内での動きを把握することにより、商品の配置やPOPの置き場所等も改善しながら売上を上げることができます。
◎商品認識・在庫管理システムの導入
商品が購入されると本部に通知が入り、在庫の管理を行います。天気や気温などによって売上の伸びを確認しながら、在庫の補充、商品の生産をコントロールし、無駄のない商品の補充を行うことができます。全てがシステム管理されているからこそ、陳列は人の手が必要になる部分です。
◎決済システムの導入
商品を購入するとそのままシステムに反映されるように、POSレジを採用しています。POSレジとはお客さまに商品を販売した際に生じる金銭のやり取り等の情報を、販売した時点で情報を記録・集計するシステムを完備したレジのことです。
実際には現金で入れる店舗も多いですが、QRコード決済の普及により決済方法も充実してきています。
◎顧客データの収集・分析
DXを支えるのはこの顧客データの収集と分析になります。実際の購入者、性別、購入数、購入金額、リピート数、生活圏の距離感、購入される時間帯も含め、全てデータとして収集することを可能とします。顧客データは企業を守るためだけでなく、今後の店舗出店の計画に使用したり、また別事業を検討する際にも役に立つデータを集めることを可能とします。ビックデータを収集し活用することができるのもDXの強みのひとつです。
◎人件費の削減
本来なら店舗を営業している間は「責任者」であったりスタッフが在中するのがこれまでの店舗経営でしたが、在庫管理も必要なく、金銭の受け取りもセルフレジで可能。実際にスタッフを置いたとしても1人で行える仕事量となっています。企業の固定費の多くは人件費という中、その人件費を削減できるのは無人店舗ならではになります。また、スタッフの配置等考える必要がなく、24時間経営を可能としていることも売上アップを支えています。
防犯カメラの設置やPOSレジの設置などはこれまでも行われてきたことですが、決済方法の充実や分析システムが高度になったことにより、人の動きや売上推移予想、新規出店の見立てなどを可能とし、現在の無人店舗の出店スピードを後押ししています。
あの噂のチョコザップも無人店舗で事業拡大!
これを読んでいるあなたも、もしかしたらチョコザップの会員になっているかもしれませんね。飲食業界以外ですと、やはり代表になるのがチョコザップだと考えています。
チョコザップに関しては、あのライザップグループが作っている、着替えずそのまま利用できる月額制使い放題のコンビニジムになります。こちらも多く店舗を見かけるようになりましたね。
それもそのはず、2022年7月からスタートし、2023年8月15日現在会員数を80万人に伸ばし、店舗数を全国32都道府県に880店を突破することになりました。「コンビニジム」というだけあって、気軽にいける場所に店舗展開しているのが特徴です。
これを支えるのもやはりDXになります。
通常トレーニングジムとなるとスタッフを配置しますが、スタッフはもちろんいません。人件費をサクッと削減されています。また、通常よりも防犯カメラを多く設置することによって安心して利用できるようにしているそうです。同時に、カメラで解析することによって、混雑状況を読み込み、アプリで混雑状況を確認することも可能としています。
チョコザップが拡大する背景として「トレーニングジムには筋トレガチ勢(本気でやっているプロのトレーニングをしている人たち)がいて、気が引けるので気軽に行ける場所が欲しい」という、筋トレが流行る中で生まれた顧客の声を上手に拾っています。
またチョコザップ本体がRIZAPを経営していることもあり、RIZAPで一度トレーニングを行った人が、もっと気軽に通い続けられるトレーニングジムがあればいいのに!という声も店舗を作るきっかけだったようです。
店舗利用をアプリで管理することによって、誰がいつどこの店舗を利用し、どの機械をどれくらい使用したのか、滞在時間や来店頻度も全て数値化されデータとして収集されているわけです。
お客様の状況を理解した改善が行われるので、必然的にお客様にも嬉しい環境にどんどんアップデートされていく好循環が生まれています。
私たちを取り巻くDX
DXと聞くと企業における生産性の改善、人件費削減、データ収集など、大きなことのように感じるかもしれません。ですが、実はもっと身近なところにDXが存在しています。
今日ご紹介した無人店舗も、私たちに直接的に何かが関わっているようには感じないかもしれませんが、私たちの動きひとつひとつ、購入の判断も購入した商品もその全てが企業にとって大切なデータとなり、そのデータを活かして経営判断が行われています。
もちろんニュースであるように万引きなどの事件が起きていたり、お金のボックスを盗んでしまう人も存在しています。ですが、それ以上に無人店舗であっても、積極的にそして好意的に利用する人が多いのが今の時代なのかもしれません。
欲しい商品が欲しい時にある。購入しやすい場所に、欲しい商品がある。
小さな顧客体験の積み重ねで改善され、さらにブランドや商品に快適に触れることができているわけです。これってすごいことですよね。
DXというのは、サービスを提供する側もサービスを利用する側もその両者が幸せであることが大切な条件だと思います。これから先も飲食業界やヘルスケア業界においてもDXは継続的に進んで行くはずです。
ぜひ身近なサービスのDXを見つけてみてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!