自治体DX・AI

自治体広報DXアワード

常日頃、企業のDXに触れているこちらのサイトですが、今回は「自治体広報DX」に関してお話していきたいと思います。

今回の記事を書くにあたり、自治体広報DXアワードというものが存在していることをはじめて知りました。自治体におけるDXの意味は、働き手の人手不足や生産性を補うだけでなく、情報格差をなくし市民が安心して暮らせる街づくりのためにあると考えます。

双方にとって必要なDXは何なのか、私もまだ答えがありませんが、今回の記事を書きながらその点を明らかにしていきたいと思います。

自治体広報DXとは?

「自治体広報DXアワード」は、デジタル技術を活用し、積極的かつ戦略的な広報活動にチャレンジしている自治体を発掘、及び表彰を通じてモデル事例として全国に広めるプロジェクトです。

新型コロナウイルスを契機とした人々の生活や働き方の価値観の変化、情報の受け手の媒体の多様化、少子高齢化による地域の担い手不足や税収不足など、地方自治体を取り巻く環境は大きく変化しています。

このような環境変化に対応すべく、地方自治体が担う広報の役割は、「地域住民へ正しい情報を伝える」という、これまでのような一方向の情報発信だけではなく、地域課題解決に寄与する様々な取り組みに、地域内外の人々を広く巻き込んでいく、積極的かつ戦略的な広報活動が求められるようになっています。

デジタル社会において、地域の課題解決を担う重要な役割としての自治体広報のあり方、広報活動DXのさらなる発展と向上に寄与すべく「自治体広報DXアワード」を開催しています。(PR Timesより

これまでのような一方的な広報の形ではなく、地域に根差し、地域の課題解決を一緒にできる自治体の在り方が求められていることが分かります。

自治体が取り組んだ広報活動として

・新しいデジタルツールを活用して取り組んだ広報活動
・ワーケーションや観光など交流人口や関係人口を増やすことを目的とした報活動
・移住やふるさと納税など地域との地域とのつながりを深めることを目的とした広報活動
・住民や企業とより良いコミュニケーションを実現するために取り組んだ広報活動
・企業誘致やサテライトオフィス誘致、民間企業とのコラボレーションなどを目的として取り組んだ広報活動
・自治体における職員採用における広報活動や、新しい施策を庁内で広めるための広報活動

審査基準

・戦略性
地方自治体等が抱える課題を広報という手段でどのように解決をしたのか

・独創性
他の地域との差別化を意識した取り組みになっているか

・デジタル活用
目的にあった適切なデジタルツールを活用できているか

・広報活動による成果
広報活動実施の際に定めた目標に対する成果(定性・定量)

この4つの基準をもとに評価をされているようです。

自治体広報DX 2023年の受賞者

最優秀賞 長野県佐久市が受賞されていました。おめでとうございます!
受賞コメントを拝読していると「Slackを活用したコミュニティづくり」という言葉があり、Slack!!市民とともにSlackを活用したなんてびっくりと衝撃を受けておりました。

一体誰が言い出したのだ…
そして、それを許可した市長も素晴らしいと感じさせられます。
リモート市役所Slack

担当者の声「広報活動を通して、より多くの方に佐久市を知っていただけるように、市民の方には、より佐久市に愛着を持っていただけるように引き続き努力してまいります」このメッセージも広く市民を見渡されていることが伝わってきます。

みんなの幸せをぎゅっと詰め込んだプロジェクト

もうひとつ佐久市の取り組みで見つけたサイトがこちら!
サイトそのものがとても可愛く、子供たちとともに作られたというストーリー性もあるサイトとなっています。

佐久市のこども達から、ご応募をいただいた1171件の情報をまとめ、64箇所の“いいとこ”として、1枚の大きなマップのイラストに落とし込みました。“いいとこ”をクリックすると、こども達から集まった実際のコメントを読むことができます!

こども広報課「佐久市のいいとこマップ」
https://www.iitokomap.city.saku.nagano.jp/

サイトの色合いも本当に可愛くて、移住してきたご家族で開いて楽しんでもらえるサイトになってほしいなーと感じるサイトになっています。

実際にどのようにサイトが誕生したのか大人向けのコンテンツもあります!(このような背景を見るとまた愛着が湧いてきますね!)
https://www.iitokomap.city.saku.nagano.jp/projects/

引っ越しをする時、単身であれば不安も限られますが、ご家族での移住となると「どんな街なの?」「学校はどんな雰囲気?」「休日に遊べる子供にとってよい環境はあるの?」「住むのに便利な街なの?」「制度は整ってるの?」と考える視点が増えていきます。

そんな時にこのようなお子様連れに寄り添ったサイトがあると、街を知るきっかけになると感じます。またサイトを見ていると移住に特化したサイトにもリンクが…

佐久市が長い時間をかけて、移住制作に取り組み、開けた街づくりをしてきたかが伝わってきます。

おそらく自治体広報DXアワードはひとつの取り組みとして評価されたにすぎず、これまでも市民やこれからまた佐久市に移住を考える方に向けて、ウェブ上に多くの情報を掲載してきたのではないか?と感じさせられる取り組みでした。

自治体広報DXから見えること

DX(デジタルトランスフォーメーション)となると、インターネットやその他のDXツールを駆使して…というイメージを持っていましたが、情報をまとめる、わかりやすくするというのは大前提で、そこに住む市民が「分かりづらい」「結局、窓口にいかないと分からない」という状況をいかに解決するか…

オンライン化も推進しながら、オープンで透明性のある情報提供、市民が自由に参加することができ、市民からのフィードバックを積極的に受け入れる姿勢も欠かせません。また、データの活用によって政策立案や施策の効果検証を行い、持続可能な地域社会の構築を目指すことも重要になってくると思います。

2011年東日本大震災が起きたころ、SNSでの発信が大きく影響を与えるようになったことを覚えています、九州の武雄市では武雄市長の一声で「Facbeookページ」が立ち上がり、市長個人のSNSでの発信も話題に多く上がりました。

開かれた自治体というのは、多くの声が集まり(もちろん良いことばかりではないですが…)ひとりひとりが市民としての自覚を持ち、市政に興味を持つ大きなきっかけになります。

ちなみに、あの武雄市にできた官民一体の「武雄市図書館・歴史資料館」は来館者数が6月30日時点で26万人となり、3カ月間で一昨年の1年分の来館者数を上回ったという記録を持っています。人の流れすら変えてしまうのが、本当のDXなのかもしれませんね。

自治体の様々な取り組みが市民に浸透するまでには時間がかかると思います、住んでいる人にとっては「おぉ!DXが進んでいるな…」なんて思わないのです。

ふとした瞬間に「なんかこれ便利だ!」「LINEひとつで情報が届くのは便利ね!」というように日常の中で感じる便利さ、分かりやすさ、使いやすさによって実感するはずです。

今回、自治体広報DXアワードを受賞した様々な自治体の取り組みを見てきましたが、本当に各自治体によって取り組み方も取り組んだ内容も異なります。

今、必要な情報を、自分たちの街にとって必要な取り組みをしている方がいるということ。多くの人に支えられて日々を過ごしている実感となりました。

自治体でDXに取り組んでいる皆様!
私たち「自然言語理解ラボ」も皆様のお力に少しでも役立てることができればと思います。

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