コラム

日本企業のDXの取り組み

DXとは?

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称です。

デジタル技術を活用して、業務やビジネスの持続的な成長や競争力の向上を図る目的として企業や自治体は積極的にDXに取り組んでいます。

世界各国ではDXの実証実験が次々と始まっていて、日本企業も例外ではありません。

すでにDX技術を活用して、ビジネスを加速させることに成功している企業もたくさんあります。

そこで、今回は日本企業のDXの取り組みの成果についてご紹介いたします。

日本企業のDXの取り組み

成功事例4選


①クボタ

農業機械メーカーであるクボタは、『「農機×ICT」で日本の農業に生産性革命を。』というスローガンを掲げ、農業DXに積極的に取り組んでいます。

農業業界は、人手不足や生産性向上などの課題に直面していて、その課題を農業DXを活用することで利益の高い農業経営を実現しようと考えています。

それは市場の拡大にも現れていて、AgriTech市場は2026年に790億円に拡大すると予想されています。

クボタでは農業を“魅力ある強いビジネス”にするためにスマート農業を軸に5つのテーマを掲げています。

【クボタのスマート農業5つのテーマ】

・超省力、大規模生産を実現

・作物の能力を最大限に発揮

・きつい作業、危険な作業から解放

・誰もが取り組みやすい農業を実現

・消費者、実需者に安心と信頼を提供

そして、現在「農機自動化による超省力化」と「データ活用による精密化」を主軸にスマート農業実現に向けて取り組みを行っています。

例えば、自動運転や無人化で動く農機の開発をすることで人材不足や作業効率の向上を目指しています。また、トラクタや田植機とICTを融合させることで、施肥量の管理や作業効率の改善など、データを収集し農業経営の見える化を実現しています。

しかし、初めからクボタはDXの流れにうまく乗れていたわけではありません。
2020年からの新型コロナウイルスの拡大による製造や物流の混乱のため出遅れてしまっていました。

そこで、基幹システムの刷新に500億円を投資し、前者のDXを担う新会社を立ち上げ、2024年までにDX人材を7倍の1000人に増やすことを発表しました。

その結果、急速に意識改革が行われDXが加速し、今では農業DX業界全体を担う存在となりました。

②ユニクロ(ファーストリテイリング)

ユニクロではRFIDの活用が進められています。

RFIDとは「Radio-frequency Idntifier」の略で、情報を格納した電子タグを無線通信を用いて、物体の識別や追跡を行う技術です。

ユニクロではRFIDの技術を活用して効率的な在庫管理や、顧客サービスの向上に取り組んでいます。

在庫管理において、以前は手作業で商品をピッキングし出荷していました。しかし、RFIDを導入したことにより、タグで管理することができ複数の商品を効率的にピッキングすることができるようになり、出荷スピードが向上し、従業員の作業負担軽減、人的ミスを最小限に抑えることに成功しました。

また店舗では、以前は商品を購入しようとすると顧客は店員がいるレジで、1つ1つの商品をスキャンしてもらい、精算するという過程を経て買い物をしていました。

一方、RFIDの技術を活用したレジでは、顧客自ら無人のレジにRFIDタグのついた商品を置くだけで会計することが可能になりました。

ユニクロはRFIDの技術により、アパレル業界の従来からの課題となっていた在庫管理の効率化と負担軽減、また店舗での「レジ待ち」の時間を大幅に改善し、レジに必要だった人員の削減にも成功しました。

現在ユニクロでは、店舗DXにさらに力を入れ、試着のデジタル化を目指しています。

実際にユニクロ原宿店では「StyleHint原宿」という専用スペースが設置され、240台のディスプレイに専用アプリに投稿されたコーディネートが次々と切り替わります。

また、「ユニクロLIVESTATION」というライブ配信を積極的に行い、DXを用いた情報発信に力を入れています。

③商船三井

商船三井では「海の技術を進化させるイノベーション」をテーマに設定し、DXの取り組みを強化しています。

まず、船のDXでは拡張現実技術を活用したARナビゲーションシステムを導入しています。船舶前方をカメラでディスプレイに映し、その映像にAR技術にて操船に必要な情報が表示され航行、操船をサポートします。

また、無人運航船の実現を目指し、大型カーフェリーの実岸壁自動離着桟の実証実験や商業運航内航大型カーフェリーによる無人運航実証実験を行っています。

これらの実証実験はいずれも成功し、船DXの活用がますます期待されています。

④ブリヂストン

ブリヂストンでは「より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」をテーマにリアルな現場の技術とデジタルの融合を目指し、DXに取り組んできました。

経済産業省と東京証券取引所が共同で紹介している「DX銘柄」では、2020年~2022年まで3年連続で選定されるほど、社外から見てもDXへの取り組みの評価が高い企業です。

ブリヂストンの代表的なDXの取り組みは「技能伝承システム」と「タイヤ交換」です。

まず、「技能伝承システム」は熟練の技術をデータ化し、新人の技能訓練に活用されています。

例えば、航空機用タイヤや鉱山・建設車両用タイヤの製造には通常のタイヤの15倍以上の作業ステップが必要で熟練の技術が必要でした。しかし「技能伝承システム」を活用することで、今まで、熟練のスキルを身につけるまで何年も時間をかけていた技術をデータ化し、伝承する仕組みを構築しました。

次に「タイヤ交換」です。

もともと、航空機用タイヤは離着陸を繰り返すと摩耗してしまい数百回で交換する必要がありました。しかし、タイヤの摩耗進展速度がそれぞれ異なるため、突発的なタイヤ交換が発生してしまい、計画的に作業ができずとても非効率でした。

そこで、タイヤ交換にAIを掛け合わせた摩耗予測技術を取り入れていることで、計画的なタイヤ交換が可能となり、効率的に作業を進めることができました。

さらに、ブリヂストンではDX技術を支えるための人材の育成に力を入れています。

東北大学と提携し、デジタル人材育成プロジェクトを2021年〜2024年にかけて取り組み、長期的な計画でDXプロジェクトを進めています。

まとめ

DXはいざ始めるとなると何から手をつければ良いのか迷ってしまうかもしれません。しかし、闇雲にDXを導入したからといって、問題が解決するわけではありません。

まずは、業務のフローを見直して、自動化、無人化がどこに必要なのかを見極めましょう。そして、どんなDX技術を導入すれば良いのかを検討し、導入した場合の経済効果を検討しましょう。

今回ご紹介した事例以外にも日本企業の成功事例は数多くあり、現在進行形でさまざまなDX技術の実証実験が行われています。

ぜひ、日本企業の成功事例を参考にビジネスにして、DXを取り入れてみましょう。

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